REPORT
活動報告
2025.10.02
マゼルバ
【はやちゃんのぼちぼちいこか】令和7年10月号

「~SAN」
日本には今、世界中から観光客が押し寄せています。ところが観光客のほとんどは、日本語がしゃべれません。何かにつけ英語の登場する機会が増えます。日本では、小学校から膨大な時間を英語学習に費やしていますが、基本的に試験英語なので実用には向いていません。その結果、英語の時間が憂鬱になってしまいます。
AIがあらゆる場面で活用される今、スマホがあれば英会話も可能です。とは言え、生身の会話に憧れるのも事実でしょう。ただ日本人が英語の苦手な大きな理由に、私たちの感性を英語では表現しにくいことがあります。英語は私はこう思う、私はこうするというように、私(自己)を全面的に主張する言葉です。一方日本語は何事もこうなるというように、自己主張を抑え、全体の総意という形を取ります。どちらが良いというのではなく、そもそもの文化的背景が違うのです。アメリカでは日本語が、習得最難関言語とされていますが、逆も又真なり?だから私たちにとり英語の習得は、非常に高い壁なのかもしれません。
閉幕間近ですが、万国博覧会が大阪で開催中です。聞く所によると何十回も行った、中には一日も休まずに通った猛者もいるようです。その万博の開催に向け国際会議が開かれた時のことです。国際会議で使用される共通言葉となると、日本人が苦手とする英語です。その英語が飛び交う場で、一つの日本語が頻繁に使われました。その言葉というのが「さん」です。さん ? そう、あの名前の後に付ける○○さんのさんです。何故この言葉が、頻繁に使われたのでしょうか。英語圏では通常名前を呼ぶ場合、ジョンとかメリーというようにファーストネームで呼びます。ところが国際会議となれば、人の名を呼ぶ場合ファーストネームではなくMr,○○ Ms,○○ Dr,○○などの敬称が必要となります。ところがこの敬称、国によって使い方は様々なうえ、近年では男女同権やジェンダーフリーの流れもあり、公の場では何かと神経を使います。間違えば大きな問題にもなりかねません。そんな公式の場に日本語の敬称「~さん」が採用されたのです。「~さん」は基本的に老若男女や社会的肩書きなどを越えて、誰もが誰に対しても対等に使えます。会議では「メリーsan」「ブラウンsan」「キムsan」などと呼びかけていたそうです。「~さん」は昨今の世界的な日本アニメブームの影響などもあり、知っている人も多いと言われます。そういう意味でも全ての敬称を一言で表せる「san」は、今後増々世界に広がっていくのかもしれません。
日本は人間関係を土台とする社会を、古来より築いてきました。その過程で人間関係をより円滑にすべく、複雑な敬語体系が生み出されました(日本語学習者の頭痛の種でもあります)。ところがその複雑さが仇となり、日本人でさえ完璧には使いこなせません。これが、煩雑な敬称を一まとめにする敬語「~さん」の登場した最大の理由なのかもしれません。すでに江戸中期には「~さん」は一般化していたようです。こんな背景を持つ言葉だからこそ、世界を結ぶ一助となったのでしょう。今後この「~さん」が世界中で使われる機会が増えていくのなら、大阪関西万博の一つの世界貢献かもしれません。ところで皆さんは何回万博に行きましたか。 早川友教
AIがあらゆる場面で活用される今、スマホがあれば英会話も可能です。とは言え、生身の会話に憧れるのも事実でしょう。ただ日本人が英語の苦手な大きな理由に、私たちの感性を英語では表現しにくいことがあります。英語は私はこう思う、私はこうするというように、私(自己)を全面的に主張する言葉です。一方日本語は何事もこうなるというように、自己主張を抑え、全体の総意という形を取ります。どちらが良いというのではなく、そもそもの文化的背景が違うのです。アメリカでは日本語が、習得最難関言語とされていますが、逆も又真なり?だから私たちにとり英語の習得は、非常に高い壁なのかもしれません。
閉幕間近ですが、万国博覧会が大阪で開催中です。聞く所によると何十回も行った、中には一日も休まずに通った猛者もいるようです。その万博の開催に向け国際会議が開かれた時のことです。国際会議で使用される共通言葉となると、日本人が苦手とする英語です。その英語が飛び交う場で、一つの日本語が頻繁に使われました。その言葉というのが「さん」です。さん ? そう、あの名前の後に付ける○○さんのさんです。何故この言葉が、頻繁に使われたのでしょうか。英語圏では通常名前を呼ぶ場合、ジョンとかメリーというようにファーストネームで呼びます。ところが国際会議となれば、人の名を呼ぶ場合ファーストネームではなくMr,○○ Ms,○○ Dr,○○などの敬称が必要となります。ところがこの敬称、国によって使い方は様々なうえ、近年では男女同権やジェンダーフリーの流れもあり、公の場では何かと神経を使います。間違えば大きな問題にもなりかねません。そんな公式の場に日本語の敬称「~さん」が採用されたのです。「~さん」は基本的に老若男女や社会的肩書きなどを越えて、誰もが誰に対しても対等に使えます。会議では「メリーsan」「ブラウンsan」「キムsan」などと呼びかけていたそうです。「~さん」は昨今の世界的な日本アニメブームの影響などもあり、知っている人も多いと言われます。そういう意味でも全ての敬称を一言で表せる「san」は、今後増々世界に広がっていくのかもしれません。
日本は人間関係を土台とする社会を、古来より築いてきました。その過程で人間関係をより円滑にすべく、複雑な敬語体系が生み出されました(日本語学習者の頭痛の種でもあります)。ところがその複雑さが仇となり、日本人でさえ完璧には使いこなせません。これが、煩雑な敬称を一まとめにする敬語「~さん」の登場した最大の理由なのかもしれません。すでに江戸中期には「~さん」は一般化していたようです。こんな背景を持つ言葉だからこそ、世界を結ぶ一助となったのでしょう。今後この「~さん」が世界中で使われる機会が増えていくのなら、大阪関西万博の一つの世界貢献かもしれません。ところで皆さんは何回万博に行きましたか。 早川友教