障がい事業
選択肢の数を増やし、
支援の方法を広げていきたい。
阿倍野ひまわり作業所
2024年 支援員佐藤禎真
育徳園で障がい者支援の事業をスタートしたきっかけは?
阿倍野ひまわり作業所は、就労継続支援B型を事業として運営している施設です。精神障がいがある方を主に対象としていて、日中活動の支援を行っています。元々この施設と地域活動支援センター茶来(さらい)は育徳園とは別の法人だったのですが、2024年の4月から育徳園の事業の一つになりました。育徳園とは地区が同じでしたので、福祉関連の地域の集まりなどで一緒になることが多く、お互いに協力し合って活動を共にしていました。昨年、ご縁があり同じ法人として歩んでいくことになりました。
育徳園はどんなイメージでしたか?
地域を大切にしているイメージでしたね。私たちが育徳園に入る前も今も同じ印象ですが、どんなことにも人員を配置して地域貢献の為に動いている。そこは昔からブレないイメージですね。地域のイベントごとには必ず参加していますよね。例えば、夏祭りに出たり小学校に出向いて車椅子の取り扱いについての福祉教育を行ったり。そういう場所に顔を出して色んな方に声をかけ、つながりを築くことで地域の課題を発見することもあるんです。大きなスーパーマーケットに出向くことが大変な高齢者の方の為にバザーを開いていますが、バザーを開くきっかけとなったのも、普段から地域の方々のお困りごとを聞き続けていたからだと思います。私たち障がい者の事業でも、高齢者のそのようなイベントを一緒に企画させてもらって、毎月お店を出して参加していました。
地域の「福祉のど真ん中」とは?
周りに潜んでいる生活の困りごとをどうやって見つけるのか?というのは、それこそ育徳園が掲げている地域デザインにつながることだと思います。普段から地域を回って色んな方に声をかけていることで、ネットワークも生まれ、育徳園にそういった困りごとなどの声が届いてくるんですね。「野菜マルシェ」という、近隣の会館で行っている野菜販売があるのですが、そこにひまわり作業所も関わっています。野菜マルシェでは、農家さんより直接仕入れた新鮮な野菜を地域の方に販売をしていて、本当にあっという間に完売になったりおかげさまで沢山の方にご利用いただいています。その野菜マルシェも、認知症の高齢者の方の支援という目的があり行っている活動です。そのような活動を企画したり、今まで地道に続けてきた“地域のため”という思いが、住民の皆さまにも伝わり、受け入れてくれているのだと思います。地域に根を張るということが、福祉のど真ん中に通じるのですね。施設単体では福祉は成り立ちませんから、地域の方を巻き込んでというか、一緒に取り組んでいくということが大事ですよね。
障がい者の施設について教えてください。
ひまわり作業所は精神障がいを抱えている方のための支援施設なのですが、精神障がい者の方のための施設というのは今まであまり多くはなかったんです。近所の方からすると「ここは何をしているんだろう?」と分からない方がほとんどなので、「うちの施設はこういうところだよ」というのを知ってもらいたいなと思い、年に1度ですが施設を全部解放して地域の方からいただいたものや作業所で製作しているクッキーをバザーで売ったりして、交流をするようにしています。ここがどういう施設でどんな人が来ているところなのかを地域の方にまず知ってもらいたいなと思っています。実際、精神障がいというのをあまり知られたくない方も多く、ご家族もご本人様もあまりオープンにしたくないという場合が多いですが、そのような方でもここだったら通えるし、皆んなが色んな事情を知っているので公表したくないことはしなくても良いですし。何かこの先に起こった時に、この施設があることが安心につながれば良いなと思っていますし、これからも伝え続けていきたいことです。もし、周りで困っている人がいれば自分たちのことを思い出してくれたら良いなと思います。
佐藤さんご自身のこれからの目標やしたいことを教えてください。
10人規模の事業所を沢山作って、選択肢の数を増やしていきたいと思っています。ずっと前から考えていたことではありますが、こうして育徳園と一緒になったことで、今後はそのような形で事業を広げていきたいです。それぞれの事業所でそれぞれ違う作業を行い、自分に合う場所を選べるということを、将来的にしていきたいですね。色んな特色を持った小さな作業所が地域にいっぱいある、というのが理想の形です。認知症の方であったり不登校の学生の方であったり、幅を広げていきたいという思いがあります。